老犬ごはんの教科書

はじめに

犬たちは1万年以上も昔に人間と共に生きる道を選択し、私たちに寄り添い喜びや癒しをもたらしてくれています。偶然か必然かで出会った愛犬とのわずか十数年の毎日は笑顔と幸せがたくさん詰まった、かけがえのない毎日です。
そんな愛犬の老いを感じる事はとても切ないものがあります。
そしていつか必ず終わりの時がやって来ます。

看取る事も大切な大切な私たちのお役目だと思っています。
「何歳まで生かしたか」が重要なのではなくて、最期の時までいかに犬らしく。
旅立ちの準備をはじめるまで、美味しく食べ、痛みや苦しみもなく、そして私たちへの心残りもなく、息を引き取れるか。
できる事なら老衰でおくってあげたい。と思っている飼い主さんは多いのではないしょうか。
食事だけでそれが叶う訳ではありませんが、犬のごはんをつくるという事は、愛犬への感謝を込めて私たちがしてあげられる事のひとつだと思っています。

どんな看送り方であっても後悔はしてしまいます。
ですが楽しく遊ぶ笑顔や目をキラキラさせてごはんを待つ姿は私たちの心を温ためてくれる素敵な思い出になると思うのです。
老犬のごはんは気をつけるべき事もありますが、つくる喜びが愛犬の喜びとなり、それが生きる活力となってくれればこんな嬉しい事はありません。

本書を手にとって下さった方の愛犬が一日でも長くそばに居てくれますように。
心より願っています。

誠文堂新光社